コンキチとポンタ

 

 

 

ある山に、タヌキの家族が住んでいました。

お父さんと、お母さんと、子供の3人家族でした。

子供の名前は、ポンタといいます。

ポンタは、カレーライスが大好きでした。

今日も、ポンタのお母さんは、カレーライスを晩御飯に作ってくれました。


「わー、やったー、今日もカレーだ。嬉しいなあ。」とポンタが言いました。

「今日のカレーは、美味しいよ~。どんぐりカレーだよ。」

「えー、どんぐりカレーなの? 僕、どんぐりカレーは、初めてだよ。お母さん!」

「食べてごらん」

「うん」

パクッ、ムシャムシャムシャ・・・

「う~ん、美味しい! どんぐりがサクサクしていて、とても美味しいよ!」

「そうでしょう! 沢山あるからね。」

すると、ポンタが、「でも、僕は、もう少し辛くしたいなー」と言って、トウガラシを、振りかけようとしました。


すると、お母さんが、言いました、「こら、ポンタ。あんまり辛くすると、体に悪いんだよ。明日の晩、ポンポコ山で、”お腹の太鼓叩き大会”が、あるでしょう。その時、体の調子が悪かったら、出られなくなるよ。
それに、タヌキはねえ、あんまり辛いものばかり食べると、お腹の太鼓を叩いても、音が出なくなるときが、あるんだよ。だから、トウガラシを入れずに食べなさい!」

「うん、わかったよ。じゃあ、我慢する。」と言って、トウガラシを入れずに食べました。

次の日になりました。

ポンタの家に、友達の、キツネのコンキチがやって来ました。

コンキチが、ポンタに「ポンタ! ポンポコ山で、サイのおじさんが、新しいカレー屋さんを始めたんだって。一緒に、食べに行かないかい?」と誘いました。

ポンタは、「えー!新しいカレーのお店かあ、行ってみたいなあ。お母さん、コンキチと二人で、行って来てもいい?」と尋ねました。

お母さんは「いいよー」と言ってくれ、カレーのお金をくれました。

「よし、コンキチ、行ってみよう!」

二人はポンタの家から、ポンポコ山の奥に新しくできたカレー屋さんに向かって、山道を登っていきました。


二人が、しばらく行くと屋根に大きな角が1本生えたヘンテコな形の建物が見えて来ました。

「ひょっとして、あのヘンテコな建物がそのカレー屋さんかなあ?」

「きっと、そうだよ。だって、サイのカレー屋さんだから、屋根に角があるんだと思うよ。」

二人は、その建物の入り口に到着しました。

上の方を見上げると、大きな看板があり、そこに『サイのカレー屋』と書いてありました。

「やったー。着いたぞ。沢山歩いたから、もうお腹がペコペコだよ。さっそく入ってみよう。」と、ポンタが言いました。


二人は、ドキドキしながら、お店の中に入って行きました。

すると、お店のカウンターの中に、サイのおじさんが居て、二人に向かって、

「はいっ、いらっしゃい!」と、大きな声で言ってくれました。

ポンタとコンキチは、そのあまりに大きな声に少々びっくりしましたが、気を取り直して、二人並んでカウンター席に座りました。

カウンターには、カレーのメニュー表が置いてありました。

二人は、さっそく、どのカレーにするかを選び始めました。

最初に注文したのは、コンキチでした、

「僕はねえ、青キノコの甘口カレーにするよ。ポンタは?」

「僕はねえ、赤キノコのカレーにするよ。」

「ヘイッ。青キノコと赤キノコね、まいど!」と言って、サイのおじさんはカレーを作り始めました。

おじさんが、料理をしている間、二人はメニュー表を眺めながら、次に来た時にどれを食べるか考えていました。

その時、ポンタは、自分が注文した『赤キノコのカレー』の横に、小さな字で『とっても辛いので注意』と書いてあることに気が付きました。

だけど、ポンタは何も気に留めませんでした。

それから、10分程が過ぎた時、サイのおじさんが「はい、おまちどう!」と言って、出来上がったカレーを二人の前に出してくれました。

その時、サイのおじさんは「タヌキの君、赤キノコのカレーは、とても辛いから気を付けろよ。」と言いました。

そして、二人は、「いただきまーす。」と言って、食べ始めました。

コンキチは、「甘くて、美味しいー!」と言いました。

ポンタは、「辛いっ!こんな辛い味、お母さんは絶対作ってくれないよ。よし、家ではこんな辛いレーは絶対に食べさせてもらいえないから、全部食べてやるぞー」

と言って、地獄のように赤キノコのカレーを、ポンタは全部食べてしまいました。

そして、二人は代金を払って、お店の外へ出ました。

「おいしかったなあ、ポンタ」

「そうだねえ。満足だよ。」

二人は、お腹一杯になったので、近くの野原で休憩することにしました。

そして、休んでいる時、コンキチが言いました。

「ポンタ、俺、お前のお腹の太鼓の音を、今、聞いてみたいなー。美味しいものを沢山食べて、お腹が丸く飛び出しているから、きっといい音を出せるんでしょ? 今晩の”お腹の太鼓叩き大会”のための練習にもなるから、音を聞かせてくれよ。」

すると、ポンタは「いいよー」と言って、ゆっくり立ち上がると、足を少し開いて立ち、構えました。

そして、両手で、グーを作って、

「せ~の~」

スコン。

「あれ? もう一回」

スコン。

「あれ~?」と、ポンタ。

コンキチが「どうしたんだい、ポンタ! 音が出ていないよ。」と言いました。

ポンタは「あれ? おかしいなあ~、もっと力一杯叩いてみよう」と言って、

「せ~の~」

スコン。

何回叩いても、

スコン、スコン、スコン。

「わ~どうしよう。コンキチ、お腹を叩いても、音が出ない! 今日の夜は、”お腹の太鼓叩き大会”に出るのに。これじゃあ、みんなに笑われちゃうよ。」

「それは、大変だ。でも、どうして急に、音が出なくなったんだろう?」とコンキチが言いました。


それから、しばらくの間、二人は、どうしたら元にもどるのか考え込みましたが、思いつきませんでした。

そして、「そうだ、もっと山奥の、ヤマンバ婆さんに相談しよう。ヤマンバ婆さんは、怖い人だけど、山一番の物知りらしいよ。だけど、あまり怒らせると、食べられちゃうそうだけど。」とコンキチが言いました。

すると、ポンタは「え~、ヤマンバ婆さんか~、怖いから行きたくないなー。でも、太鼓大会で、お腹の太鼓が鳴らなかったら、もっと困るしなあ・・・。どうしようかなあ。」

すると、コンキチが「ポンタ、勇気を出して、ヤマンバ婆さんに相談しに行こう。俺も一緒に行ってあげるからさ。」と言ってくれました。

そして、二人は、ゆっくり、山道を登って行きました。

途中から、道はくねくねと曲がり始め、林の中の暗くて細い道に繋がっていました。

その道を通り抜けると、小さくて不気味な家が見えてきました。

「ほら、ここだよ。ポンタ。」


「うん」

トントン。

二人は、ドアを叩きました。

すると、ドアが、『ギーーーーーー』と、音をたてて、開きました。

そして、中から、「誰じゃー ! 気持ち良く昼寝していたのに! 私を起こしたのは。お前たちかあーーーー !」

とても怖い魔女のような顔をした、お婆さんが出てきました。

「ヤマンバ婆さんですか?」コンキチが聞きました。


「そうだあ。何の用だあ?」と、ヤマンバ婆さんは怖い顔で言いました。


「ほら、ポンタ、頑張れ。聞いてみるんだ。」

ポンタは、勇気を振り絞って、

「あの~、僕、今日、赤キノコの辛いカレーを食べたら、お腹の太鼓が鳴らなくなったんです。でも、今日の夜、ポンポコ山のお腹の太鼓叩き大会に出なくちゃならないから、困っているんです。どうしたら、元のお腹にもどせるんですか?」と尋ねました。

すると、

「お前は、辛すぎる物を食べたら、お腹の太鼓が鳴らなくなることを、知らなかったのか!」と、ヤマンバばあさんに、聞かれポンタは、

「お母さんから、聞いたことはあったけど・・・」

「こらあっ! じゃあ、なぜ、お前はそれを守らなかったのじゃー!自業自得じゃ!」


「ごめんなさい、ごめんなさい。」ポンタは、涙を流しながら謝りましました。

そして、ヤマンバ婆さんが、言いました。

「赤キノコのカレーを食べて、鳴らなくなった、お腹の太鼓を元に戻す方法は、ただ一つ!」


「うん、それは?」

「それは、なあー、この山のてっぺんに生えている、紫キノコを採ってきて食べるのじゃ。そうすれば、元のお腹にもどる。」

「え~! 紫キノコこ? そんなの見たことないよ。」

「そうだろうなあ。紫キノコは、山のてっぺんにほんの少ししか、生えてない貴重なキノコだ。それに、山のてっぺんは、とても危険だから、誰も、怖くて近寄れないんじゃ。だけど、方法はそれしかない。それを、採りに行くかどうかは、お前の自由じゃ。じゃあな。」

バタンッ!

ヤマンバ婆さんは、家の中に入ってしまいました。

ポンタは、「山のてっぺんは、とても危なくて行けないよ。」と言いました。

すると、コンキチが「そうかあ、でも、いつも太鼓叩き大会で優勝しているお前のお腹の音は、みんなが楽しみにしているぞ。」と言ってくれました。

「うん、でも、どうしようもないよ。」とポンタが言いました。

二人は、仕方なく、とぼとぼと家に向かって歩き出しました。

落ち込んだ気持ちのまま、二人は、あまり口をきかず同じ道を帰って行きました。

そして、ポンタは家に着くと、

「ただいまー。」

「おかえりー。新しいカレー屋さん、どうだった?」とお母さんが尋ねました。

「別にー」と、ポンタは気のない返事をして、自分の部屋へ入りました。

自分の部屋の中で、ポンタは困り果てました。

『お腹の太鼓が鳴らなくなったことは、お母さんとお父さんには、怒られるのが怖くて、とても言えない。僕は、どうしたらいいんだろう?』

そして、やがて日が沈み、夜が訪れました。

今晩八時に、お腹の太鼓叩き大会が始まります。

会場には、山の動物たちみんなが、ぞくぞくと集まって来ます。

「ポンタ、さあ、行くぞ。今年も、お前が優勝できるように応援しているからな。」


「そうだよ。」

とポンタの、お父さんとお母さんが、声をかけてくれました。

「う~ん。」ポンタは気の無い返事を返しました。

山に住む動物のみんなも、今年もまた、ポンタが一番きれいな音を出して、優勝すると思っています。

さて、八時ちょうどになり、お腹の太鼓叩き大会始まりました。

ステージ代わりの切り株の上に、司会役の山リスがピョンと飛び乗り、

「さてさて、今年も毎年恒例のお腹の太鼓叩き大会の始まり、始まりー。では、1番、クヌギ村のタヌ平君どうぞ」と始まりを告げました。

パチパチパチ・・・

ポンタは、去年優勝したので、一番最後にお腹の音を披露することになっています。

最初は、他のタヌキたちが、それ程上手ではありませんが一生懸命お腹を叩いて、音を出します。

そして、ポンタ以外のタヌキたち全員が叩き終わり、ついにポンタの番が回ってきました。

すると、また、司会の山リスが、切り株の上にピョンと飛び乗り、

「それでは、最後の選手。去年、優勝したポンタ君の登場です。今年も、素晴らしいお腹の音を期待したいと思います。ポンタ君どうぞー!」と告げました。

パチパチパチ・・・

ポンタは、みんなが注目する中、お腹の音を披露する切り株の上に乗りました。

すると、パチパチパチパチパチ・・・

更に大きな拍手が沸き起こりました。

「ポンター ! 今年も頼むぞー、いい音出してくれよー!」と、近所の、クマのおじさんが、声をかけてくれました。

それを、聞いて、ポンタは、「どうしよう、もう、逃げることもできない。父さんと母さんも、見ている。どうしよう、どうしよう・・・・」と、泣きたい気持ちになりました。

会場全体が、静かになり、山の動物みんなが、ポンタのお腹に注目しています。

シーン

静けさが会場を包み込みます。

ポンタは、怖くてお腹を手で叩くことができません。額から冷や汗が流れ始めました。

ポンタが、困り果て、じっとしていると、「どうした! ポンタ! 早く叩けー!」と、みんなは言い始め、

「どうしたんだ!? 早くしろー! ポンタ!」と、だんだん、怒りの声に変ってきました。

「仕方がない。どんなに情けない音でも、自分のせいでこうなったんだ。自業自得だ。今年の優勝は諦めよう。お父さん、お母さん、ごめんなさい。」

そう、ポンタは、呟いてから、ゆっくりと両手でグーを作りました

そして、両足を少し開き、丸い満月を見据え、構えました。

両手を横に伸ばしてー

「せーーーのーーー」。

その時です、動物たちの後ろから、誰かが叫びました。

「ポンター! これを受け取れー!」

それは、友達のコンキチでした。

その瞬間、コンキチは、ポンタに向かって何かを投げました。

ヒュン !

ポンタは、両手でそれを受け止めました。

バシッ !

ポンタは、両手を開き、受け止めた物を見てびっくりしました。

「おっ! これは、紫キノコじゃないか!」とポンタは叫びました。

「ポンタ、早く食べろ!」と、コンキチが叫びました。

パクッ ムシャムシャムシャ ゴックン

ポンタは、素早く食べ終わり、両手をまた横に素早く伸ばし、もう一度グーを作り直しました。

そして、全身の力を、お腹に集中させ胸を張り

「せーーーーのーーーー」

ポンポコポーン !

素晴らしい音が、山じゅうに響き渡りました。

パチパチパチパチパチパチパチ・・・・・・・・

動物のみんなは、大きな拍手をしました。

「ポンタ! やっぱり、お前の太鼓が一番だ。」と動物たちは、口ぐちに言ってくれました。

そして、今年もまた、ポンタは優勝することができした。

その時ポンタは、『コンキチ、ありがとう。僕の代わりに山のてっぺんから、紫キノコを採ってきてくれ
たんだな。危険なところへ僕のために・・・本当にありがとう。』と、心の中でコンキチに感謝しました。

そして、『タヌキにとって、お腹を叩いて音を出すことは、とても大切なこと。その大切なことを守るために、お母さんの言うとおり、何かを我慢することは大事なんだなあ。』と、深く反省しました。

 

 

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